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ウィンダミア湖の貴重な船のコレクション
解体の危機から救われる

英国湖水地方最大のウィンダミア湖は昔からこの地の人々の生活に深く関わってきた。交通の要、社交の場、心の休養地としての湖―。その歴史を物語る40隻を越える船のコレクションがウィンダミア湖蒸気船博物館に保管されている。ある特定の場所に限定した船のコレクションとしては世界でも他に例を見ない規模。しかし、この貴重な文化遺産はその著しい破損が問題となっていた。

ウィンダミア湖畔の美術館「ブラックウェル館」を管理運営する非営利団体レイクランド・アーツ・トラストは、このコレクションを解体から守るため、このたび大規模な修復・保全計画に乗り出すこととなった。去る7月25日、その初段階である船の陸上げ作業と応急処置に対して政府からの助成金が交付されることが決定。来春、当トラストは蒸気船博物館の管理運営を引き継ぐと同時に、一連の修復作業を開始、それに要する資金集め運動も引き続き展開される。

ウィンダミア湖蒸気船博物館のコレクションには次のような数々の貴重な船が含まれる。
●「ドリー」号
世界で最初の機械作動の大型ボートとしてギネスブックにも記録される。1851年のロンドンにおける世界博覧会に向けてウィンダミア湖で造船された。1895年に湖水地方北部のアルスウォーター湖で沈没したが、1960年ダイバーたちによって発見され甦った。
●1780年製小型帆船
最古の現存例。ウィンダミア湖に浮かぶベレ島の領主に代々受け継がれ150年間もの間使われていたが、その後消息がわからなくなっていた。110kmほど離れたリバプール郊外の農家で鶏小屋代わりに使われていたところを発見され、最終的にこの地に無事帰還した。
●「バット」号
1891年製造の蒸気船で、1904年世界で初めてリモコン操作に成功。
●「カンフライ」号
1922年製造の大型ボート。もともと英国海空軍の戦闘機SST3用に作られたロールス・ロイス製エアロ・ホーク・エンジンが使われており、長年この湖で最速スピードを誇ってきた。
●ビアトリクス・ポターのボート
ウィンダミア湖の西1.5kmほどの小さな湖「モス・エクレス・ターン」で発見された手漕ぎボート。「ピーター・ラビット」の生みの親ビアトリクス・ポターが愛用していた。今年出版100周年を迎える「ジェレミー・フィッシャーどんのお話」は彼女がこのボートでひとり水上での時間を楽しんでいる際、湖に浮かぶ蓮の葉を見てひらめいたと言われている。

コレクションの大半は19世紀末から20世紀初めにかけて造船され、ちょうどブラックウェル館が建てられた時代のもの。館の主人エドワード・ホルト卿もこのコレクションに見られるような船で水上での社交を楽しんでいた。これらの船は館と同様、自然の中で人の手と創意が生み出したもの。優れた職人の技が光る美術工芸でもある。

蒸気船博物館はブラックウェル館から3kmほど北の湖畔にある。今後、本コレクションの展示空間の改増築や蒸気船の活用も計画されており、館と連携して当時の上流階級のライフスタイルが肌で感じられる人気観光アトラクションとなることも期待される。